持続可能な社会の実現に向け、自然環境を尊重し環境負荷の少ないモノづくりを目指すために、地球環境の保全と維持に配慮した事業活動を行います。
当社グループと水力発電所
広桃発電所
電解をコア技術とした当社グループでは安定した電力の確保が必須であり、わが国の電力事情の将来を見越して当社(旧・日本カーリット㈱)が1953年に建設した水力発電所です。
川底の高低差を活用した発電所で、ダムのように大規模な土木工事を要さないことが大きな特長です。また、放水された水は下流にある群馬県などの発電所の発電に用いられています。自然体系を損ねることのない、再生可能エネルギーを有効活用した、正にクリーンエネルギーの代名詞と言える発電構造となっています。
2021年度実績では約1,860万kWhの発電を行い、環境面ではCO₂発生量を年間8,300t以上の削減に、また業績面でも購入電力料金に換算すると約3億円の寄与につながっています。
当社グループの「宝」である広桃発電所を大切に維持・活用し、環境保全に配慮した事業を通し環境面でも社会に貢献していきます。
100%再生可能エネルギー工場/群馬工場
主に電解による原料の製造を行うために1934年に稼働を開始しました。ロケットの固体推進薬原料である過塩素酸アンモニウムをはじめ、電子材料関連製品等の製造を行っている同工場で用いられる電気は、すべて広桃発電所で発電された再生可能エネルギーによって賄われています。
電池の充放電サイクル試験や保存劣化試験を行う電池試験所もこの工場の敷地内にあります。持続可能なエネルギーとして注目される蓄電池の性能と安全性の向上を、クリーンなエネルギーで支えています。
化学品管理や排水管理への取り組み
当社グループと水資源の関係
当社グループは、利根川の水利を基礎とした塩水電解を祖業としており、それを基礎とした技術は現在に至るまで化学品事業の根幹を成しています。上述の水力発電による電源は、事業ポートフォリオにおいて育成領域にあたる過塩素酸アンモニウム(基礎化学品の固体ロケット推進薬原料)の製造や、次世代電池評価サービス(電池の受託試験)に活用しています。また、ボトリング事業(ジェーシーボトリング㈱)の飲料工場においては、榛名山山麓から供給される豊富な伏流水を利用し、飲料を製造しています。
しかし、利根川の河畔に位置する当社主力工場(㈱カーリット群馬工場、ジェーシーボトリング㈱)からの排水管理が不十分であれば、広大な利根川流域全体を汚染し、首都圏の飲料水や農業用水に悪影響を及ぼしてしまうリスクも抱えています。そのため、当社では排水の水質管理を厳重に行うとともに、多重流出防止体制を整え、日々流出防止訓練を行う等して環境汚染リスクの低減に努めています。
化学品管理と水ストレス評価
当社グループでは、複数のグループ会社にてISO14001認証を取得し、環境マネジメントシステムを通じ、水の生態系や人間の健康に有害となり得る潜在的水質汚染物質を特定しています。なお、2023年度のISO審査においても重大な指摘は検出されず、継続的かつ効果的にPDCAが機能していることを確認しています。
具体的な方法・基準としては、水質汚濁防止法やPRTR法などの法令に沿って、潜在的水質汚染物質の特定・分類を行っているとともに、排水に有害な化学物質が含まれない製造工程構築に取り組んでおり、工場から漏洩があった場合には、電導度計、pH計などにより排水のモニタリングを行い、すぐに検知できる仕組みを構築しています。
また、当社グループの各拠点について水ストレスの評価を行っており、現状強度の水ストレスに晒されている拠点はないことを確認しています。また、当社(旧・日本カーリット㈱)とジェーシーボトリング㈱は、ともに地元群馬県県有林の間伐など環境保全事業に参画するなどして、水源の保全に努めています。なお、当社そのほかの事業は、発炎筒等の火工品製造、シリコンウェーハ、金属加工、塗装等であり、前述の2業種と比較すると水資源への依存度が低いことから、これら2つの事業が存在する群馬県渋川市を優先地域として特定しています。
当社グループが掲げる2030年のありたい姿「持続可能な社会に貢献するために、"化学"と"技術"の力を合わせ、人びとの幸せな暮らしを支えたい」の実現に向け、化学品・排水管理徹底による環境汚染リスクの低減、そして水源の保全・水資源の持続に取り組んでまいります。
ISO14001認証取得
当社グループでは、複数のグループ会社にてISO14001を認証取得し、環境マネジメントシステムを通じたレベルアップを図っています。2022年度のISO審査結果については、重大な指摘は検出されず、効果的にPDCAが機能していると考えます。
特に当社群馬工場と事業区域が関連するジェーシーボトリング㈱・カーリット産業㈱では、㈱カーリットの組織の一部として認証を取り、活動の幅を広げて環境影響評価などに取り組んでいます。