R&D Topics研究開発トピックス

蓄電デバイス・電極材料

太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを利用し、快適で持続可能な社会を実現するためには、限りある資源を有効活用し、地球環境に負荷を与えない脱炭素化技術が強く求められています。エネルギーを生み出す技術や一度生成されたエネルギーを効率よく利用する技術は今後ますます重要性を増していきます。
当社では、エネルギーを蓄電するための電極材料や、水素蓄電システム向けのセル部材及び水電解セルの開発を進めています。水を電気分解して水素を生成するPEM型水電解セルはカーボンニュートラル実現に向けた水素活用技術の一環として注目されており、社会実装に向けて期待されています。また、廃棄物を伴わないクリーンテクノロジーである電解合成による物質製造や電解リサイクルシステムの開発も進めています。
創業以来、我々が積み上げてきた電極・電解技術のさらなる発展により、さまざまなエネルギー関連の材料・部材の開発を通し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

トピックス

PEM型水電解セル、セル用部材(PTLなど)

持続可能な社会実現に向けて再生可能エネルギーの発電量が増えている一方で、天候などの環境要因に左右されやすく不安定な電源であることが課題となっています。そこで、再生可能エネルギーからクリーンな水素エネルギーへ転換する水電解技術が注目されており、水電解セル市場の成長が期待されています。
当社では、不溶性金属電極「エクセロード」技術を応用してPEM型水電解セル用部材である多孔質輸送層(PTL)や端板、複極板の導電性と耐食性を両立させる安価なコーティング技術を開発しています。さらに、グループ企業や社外のパートナーとの共同研究により、高出力・高耐久性に優れたPEM型水電解セルの実現に取り組んでいます。

大容量蓄電池用電極

蓄電池は、脱炭素社会のエネルギー貯蔵手段であり、カーボンニュートラル実現の鍵となる技術の一つであります。特に、太陽光や風力などの自然エネルギー発電等の普及により、電力需給を調整する大容量蓄電池の導入拡大が期待されています。一方で、蓄電池の普及拡大には、コストや安全性といった点でハードルもあり、さらなる技術革新が求められています。
当社では、大容量蓄電池の高性能化と長寿命化に向けて、これまで培ってきた電極触媒の技術が必要不可欠であると考え、大容量蓄電池用電極の開発に取り組んでいます。当社保有の電極技術を通して、高出力化かつ高耐久性によるライフサイクルコストの低減を実現し、持続可能な社会実現に貢献してまいります。

半導体関連材料

AI、IoT技術の進歩・発展に加え、5Gの実用化や自動運転技術等の自動車関連分野にも半導体デバイスの需要は広がっており、半導体製品の市場規模は今後も拡大していく見込みです。世界的に半導体の重要性が高まるなかで、長年培ってきた半導体用シリコンウェーハの技術と知識を活かし、超高平坦シリコンウェーハなどのカスタマイズウェーハの製品開発や将来の高速化、省電力化に貢献するためエレクトロニクスとフォトニクスの融合に向けたあたらしい半導体製品の研究開発を行います。

トピックス

ウェーハ研磨用テープ

半導体の微細化・多層化の進展に伴い、ウェーハ表面処理の重要性が増しています。開発中のウェーハ研磨用テープは薬剤の使用を抑えつつ、ウェーハの品質・歩留まり向上に貢献する製品です。この研磨テープには微細な砥粒を基材に均一に塗工するとともに、得られる塗膜の表面形態を制御するという高度な技術が必要とされます。さらに、当社独自の砥粒組成・配合で調製することにより、高い研磨速度と研磨精度を両立させることに成功しており、現在さらなる特性向上を目指して開発を進めています。

ライフサイエンス材料

脱炭素社会の構築に向けて、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマにして環境配慮型の製品開発に取り組んでいます。ユーザーニーズやユーザビリティを満たすために、これまでに自社で培ってきた電解技術、化学品製造技術、抽出技術をさらに発展させ、オキソ酸塩素化合物を利用したヘルスケア材料や、天然由来成分を誘導化、高機能化したバイオベースマテリアル製品の開発を行っています。

トピックス

オキソ酸塩素化合物の新規物質

コア技術を応用して塩素系化合物の開発に取り組み、これまでにない新しい塩素系化合物の合成に成功しました。開発した化合物は高い機能性と安全性を有するため、これまでに使用できなかった場面での適用が可能となり、新たな用途展開を見込んでいます。これを実用化すべく、製法の確立と新しい機能性の探索に取り組んでいます。

天然由来のバイオベースマテリアル

デンプンなどに代表されるバイオマス由来成分を原料に、自社のコア技術を応用し、高い機能性と生分解性を併せ持つ、新しい素材の開発を行っています。バイオマス由来の素材は、脱炭素社会を構成する素材として最適であり、SDGsに貢献する素材として、実用化に向けて開発を進めています。また、未利用のバイオマスを活用し、含有成分を抽出、精製し、新たな機能性を見出した素材の開発に成功しています。素材の特長を活かした機能性素材として、製品化を進めています。

新規機能材料

21世紀の社会に必要な新しい技術とそれを支える新しい材料は、人々の生活を豊かにし、持続可能な開発・科学技術の発展を支えるうえで欠かせない要素となっています。当社では、長年培ってきた技術と知識を活用し、導電性高分子材料、イオン液体、機能性色素などの機能性材料の開発を行っています。さらに機能性材料のユーザビリティを向上させるため、特殊なナノ分散方法や他素材との複合化技術の開発も進めています。発展し続ける社会のプロダクトイノベーションへ貢献できる製品づくりに取り組んでいます。

トピックス

電解質材料

  • イオン液体、導電性高分子:樹脂との相溶性に優れ、安定した帯電防止性能を示すイオン液体製品をラインナップしています。環境に調和したPFASフリー、ハロゲンフリーの構造設計に取り組んでおり、用途に応じたカスタマイズにも柔軟に対応します。また、導電性高分子の工業化技術を礎に、導電性高分子の加工技術の開発に取り組んでおり、用途に応じたカスタマイズにも柔軟に対応します。
  • 微粒子有機分散液(CCE、CCG):酸化物微粒子をナノレベルで分散した有機分散液を開発。コンデンサの電解液に加えた際にも分散状態を維持する特徴があるため、コンデンサ用電解液の高耐圧化と高電導度化の両立を実現した製品をラインナップしています。用途に応じたカスタマイズにも柔軟に対応します。

近赤外線吸収色素

近赤外線吸収色素は、イオン性有機色素であり、カチオン主骨格がフェニレンジアミン骨格を有する構造となります。アニオンが2つ付加した状態はジイモニウム塩と呼ばれ、900nm~1200nmの近赤外線吸収性能と高い可視光透過率を併せ持つ特徴を利用し、自動車・建材用の熱線遮蔽フィルムや、フラットディスプレイパネル(FDP)の近赤外線ノイズカット用途で使用いただいています。アニオンが1つ付加した状態はアミニウム塩と呼ばれ、シアニン色素などのクエンチャー(光安定化剤)として使用されています。近年はイメージセンサー(IRCF)などの用途向けに、さらなる可視光透過率の向上および耐熱性向上を目指し、構造設計・加工技術の開発に取り組んでいます。また、ご使用される用途に応じて顔料化などの加工についても柔軟に対応します。

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